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日照権の定義は明確化されていない!

街の中に住宅を建てる場合は日照権が問題となることがあります。日照権は定義が明確化されていなく、建築基準法や民法など法律によって解釈が異なることがあります。それでも、建築基準法では新築時に日影規制が設けられ、斜線制限と並んで建物の高さを制限する要素となっています。建築基準法の日影規制は用途地域によって異なりますが、冬至の日中に建物が一定時間の影を生じさせない規定となっています。

日影規制は建築基準法の規定を満足させることが当面の目標となります。建築基準法では用途地域ごとに規制値が定められ、5mと10mの規制ラインで一定時間の日影が生じないように規制されています。低層一種住居専用地域は最も規制値が厳しく、軒高が7mを超える建築物は規制の対象となります。それ以外の住居系地域や商業系地域と準工業地域でも用途地域に応じた規制があります。その場合は高さ10m以上の建築物が規制の対象となり、測定水平面が4mの部分の日影時間が規制されます。

現在の建築基準法による日影規制では、建築確認申請をする当該建物が隣地に及ぼす日影だけが問題となり、住宅の日照時間を保証するものとはなっていません。したがって、建築基準法上は適法であっても、日照時間が足りない住宅も出現することになります。その場合へ建築基準法による規制はなく、民法による日照権で対応するしかありません。民法を根拠として日照権を確保しようとする場合は裁判所へ訴訟等の手続きを取らなければならず、明確化されていない面もあります。

建築基準法での日影規制は第一種低層住居専用地域では軒高7mの建物が対象となりますが、それ以外で規制のある用途地域の場合は高さ10mが規制の対象です。したがってそれ以外の建築物は規制の対象にならず、近隣住民から不満が出る場合があります。住宅地は日影規制以外にも斜線制限や建蔽率と容積率により外観が規制され、環境に対する一定の配慮がされています。斜線制限には道路や隣地からのもの以外に北側隣地からのものがあります。

建築基準法による日影規制は冬至の日の真北方向の影により計算される数値を用いているので、それ以外の春分や秋分の日には影が少なくなり、夏至の日に最小となることが知られています。高さが10mより低い場合や第一種低層住居専用地域の軒高が7m未満の住宅等の場合は日影の検討はされず、添付図面も無いのが普通です。日影の状態が知りたい場合は、担当者に別途、日影図の作成を依頼することが必要となります。